2025.05.30

こんにちは。門真おとなこども矯正歯科です。
春になると、お子さまの学校歯科健診の結果用紙を見て驚かれる保護者の方が多くいらっしゃいます。
「えっ!?うちの子が“受診をすすめます”って書かれてる!」
そんな経験、ありませんか?
実はそのチェック、見過ごしてはいけない重要なサインかもしれません。
目次
学校健診でチェックされる「歯列・咬合の不正」って?
学校で行われる歯科健診では、虫歯の有無だけでなく、
- 歯の本数や治療歴(CやCOなど記号で表されます)
- 歯磨きの状態(プラークの有無)
- 歯ぐきの腫れ
- 顎関節の異常
- 歯並びやかみ合わせ
などもチェックされています。

その中で「歯列・咬合の不正(=歯並びやかみ合わせの問題)」にチェックが入っていた場合は要注意です!
学校健診は“パッと見の判断”
実は学校での歯科健診は、限られた時間内で多くの生徒を診るため、
どうしても「パッと見のチェック」にならざるを得ません。
みなさん思い出してみてください。
学校での歯科検診は先生と対面でお口を大きく開けて、隣で先生の言っていることを書き写す助手の方がいて・・・という環境ではなかったでしょうか?

この歯科検診では当然使える器具も限られており、レントゲンや専門的な機器も使えません。
対して歯科医院で行われる検診は、きちんとした椅子に寝転がりながらお口の中にはバッチリライトが当てられ、時にはレントゲンを撮られたり専用の機器も使用しながら診てもらうことができます。

つまり、学校歯科検診でチェックがついてしまうということは、その短時間の診察で、尚且つ限られた環境の中でも「これは受診したほうがいい」と判断される場合、
実際にはもっと深刻な問題が潜んでいる可能性があるのです。
受診をすすめる歯並びで多かったのはこの3つ!
検診で「受診をすすめます」と書かれていたお子さまの多くに共通していた歯並びは以下の3つです。
でこぼこ(叢生)

一番多い不正咬合です。「うちの子、歯がガタガタしてきた…」
そんなお悩み、実は多くの親御さんが経験しています。
実は、歯がでこぼこになるのは“歯の並ぶスペースが足りない”からです。
どういうことか、わかりやすく説明しますね。
理由1:あごの大きさに対して、歯が大きい
現代のお子さんは、食生活の変化(柔らかい食べ物が多いなど)により、
あごの成長が昔より小さくなる傾向があります。
でも、歯の大きさは昔とそれほど変わりません。
その結果…
あごの中に、全部の歯がきれいに並ぶスペースが足りなくなる
= 歯があふれて「でこぼこ」になるんです。
理由2:乳歯が早く抜けた、またはなかなか抜けない
・乳歯が虫歯で早く抜けた
・逆に、永久歯が出てきても乳歯がなかなか抜けない
こんな場合も、永久歯が正しい場所に生えられず、ずれたり重なったりして
歯並びがでこぼこになります。
理由3:指しゃぶりや舌のクセ
・指しゃぶりが長く続いている
・舌で前歯を押すクセがある
・口呼吸で舌の位置がいつも下がっている
これらのクセも、あごの発育や歯の向きに影響を与えて、歯並びを乱す原因になります。
これは見た目の問題だけでなく、放置しておくと
- 虫歯や歯周病になりやすくなる
- 発音や発育に影響を及ぼす
- 将来、歯を失う原因になる
など、生涯にわたって影響を及ぼすリスクがあります。
反対咬合(受け口)

「うちの子、下の歯が前に出てる気がする…」
「かみ合わせが逆みたいで心配…」
そんなとき、反対咬合(受け口)が疑われます。
では、なぜ子どもに反対咬合が起きるのでしょうか?
わかりやすくご説明します。
理由1:あごの骨のバランスの問題
反対咬合の多くは、下あごが上あごより前に位置することで起こります。
日本人は特に、上あごの成長が足りないことが原因のことが多いです。
これは、遺伝的な要因もあり、ご家族に「受け口だった人」がいると、同じようになりやすい傾向があります。ただ近年は後述しますが生活習慣や姿勢からも様々な不正咬合がつくられるとも考えられています。
理由2:乳歯の位置や生え方の問題
乳歯の段階で、
- 前歯のかみ合わせが逆
- 上の前歯が内側に倒れている
- 下の前歯が外側に向いている
などの場合、そのまま永久歯も反対咬合になることも多いです。
理由3:舌のクセや口呼吸
・舌で下の前歯を押すクセ
・いつも口がポカンと開いていて口呼吸している
こうしたクセも、あごの成長バランスを崩す要因になります。
理由4:生活習慣・姿勢も関係
うつぶせ寝や、頬杖、スマホを見るときの姿勢なども、
実はあごの発育に影響します。
特に長期間続くと、下あごが前に出やすくなることがあります。
【放っておくとどうなる?】
反対咬合を放置しておくと…
- あごがますます前に出てくる
- 顔全体のバランスが崩れる
- 発音や咀嚼(かむこと)に支障が出る
- 大人になってから手術が必要になることも…
などのリスクがあります。
出っ歯(上顎前突)

「前歯がすごく出てきた…」
「口が閉じにくそう…」
「唇がいつも開いてる…」
そんなお子さんの歯並び、上顎前突(出っ歯)かもしれません。
出っ歯になってしまう主な原因をわかりやすくご説明します。
理由1:上あごが前に出すぎている
上顎前突とは、その名の通り上あごが前に出すぎている状態です。
成長の過程で、上あごが前に出る力が強すぎたり、下あごの成長が弱かったりすることで起こります。
👉 つまり、あごの骨の成長バランスのズレが原因です。
このタイプは遺伝的な要素が大きく、
「親も子どものころ出っ歯だった」というケースがよくあります。
理由2:指しゃぶりや舌のクセ
指しゃぶりや、いつも舌で前歯を押すクセがあると
前歯がだんだん前に傾いてしまうことがあります。
また、口呼吸が習慣になっていると、唇の力が前歯にかからず、歯が前に出やすくなります。
理由3:乳歯の時期からのかみ合わせのクセ
乳歯の段階で、上の前歯と下の前歯の間にすき間がある「開咬」や
前歯が前に傾いている場合、
そのまま永久歯にも影響して出っ歯のまま生え変わることがあります。
【出っ歯のリスクって?】
「見た目がちょっと気になるだけ」と思われがちですが、
実は出っ歯にはこんなリスクがあります。
- 唇が閉じにくく、口呼吸になりやすい
- 前歯が乾いて虫歯や歯肉炎になりやすい
- ぶつけたときに前歯が折れやすい
- 発音(サ行・タ行)に支障が出る
- 将来のあごのバランスや顔つきに影響する
いま一度お子さまの歯並びを確認してみていただけたらと思います。
レントゲンがないからこそ、見落とされるリスクも…
学校の健診ではレントゲンを撮れないため、骨の中で進行している問題(たとえば前歯の根の吸収など)は発見されません。
コラム【7〜9歳の保護者必見】ずっと歯医者に通っていたのに、前歯を抜くなんて!?
「前歯がぐらぐらしているけど、虫歯じゃない…?」
「見た目はなんともないのに、歯がダメになってしまった…」
そんなことが実は、“犬歯の埋伏”が原因で起こることがあります。
犬歯の“埋伏”とは?
本来、永久歯は乳歯が抜けたあと、まっすぐ生えてきます。
でも中には、犬歯(糸切り歯)が骨の中で迷子になってしまい、出てこられないケースがあります。
これを「犬歯の埋伏(まいふく)」といいます。
なぜ問題なの?
埋まっている犬歯が、正しい位置を外れて、前歯の根っこにぶつかってしまうことがあります。
その結果…
👉 前歯の根がじわじわと吸収(とかされて)してしまう
👉 気づいたときには、前歯がグラグラ・抜歯が必要になることも…
しかもこの吸収は、見た目ではほとんどわからず、痛みもないまま進行するのが特徴です。
どうやって見つけるの?
🦷 見た目だけの学校歯科健診や、日常の歯磨きでは見つかりません。
必要なのはレントゲンやCTなどの画像検査です。
特に、
- 乳歯の犬歯がなかなか抜けない
- 永久歯の犬歯が左右で生えてくる時期が違う
- 歯列がガタガタしている
といった場合は、要注意サインです。
「ずっと歯医者に通っていたのに、気づいた時には大事な歯を抜かなくてはいけない状態だった…」
そんなことも現実に起きています。
歯並びの指摘を受けたら、まずは専門クリニックへ!
もし学校から「受診をすすめます」の用紙をもらったら、ぜひ一度、歯科医院を受診してください。
特に「歯並び」のチェックが入っていた場合は、矯正歯科の専門クリニックでの診察をおすすめします。
門真おとなこども矯正歯科では、
- お子さまのお口の状態に合わせた診断
- 治療の方法や期間、費用についての丁寧な説明
- メリット・デメリットのご相談
など、専門的な立場から多角的にお話をさせていただきます。
相談だけなら無料のクリニックもありますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。
まとめ
学校健診で「歯並び」について指摘を受けたら、それは“今後のリスク”を早めに見つけるチャンスです。
「うちの子もついに…」と驚かれるかもしれませんが、放っておかずに専門家に相談することで、将来の大きなトラブルを防ぐことができます。
監修者情報

土屋 聡 (歯学博士)
- 門真おとなこども矯正歯科 院長
- 日本矯正歯科学会認定医
- インビザラインドクター
- 北海道矯正歯科学会
📍京阪大和田駅 徒歩2分
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